-空間に堆積する無韻の沈黙-
炎
衝き当った天蓋の
まくれ拡がった死被の
垂れこめた雲の
薄闇の地上から
煙をはねのけ
歯がみし
おどりあがり
合体して
黒い あかい 蒼い炎は
煌めく火の粉を吹き散らしながら
いまや全市のうえに
立ちあがった
藻のように ゆれゆれ
つきすすむ炎の群列
屠殺場へ曳かれていた牛の群れは
河岸をなだれ墜ち
灰いろの鳩が一羽
羽根をちぢめて橋のうえにころがる
ぴょこ ぴょこ
噴煙のしたから這い出て
火にのまれゆくのは
四足の
無数の人間
噴き崩れた余燼のかさなりに
髪をかきむしったまま
硬直した
呪いが燻ぶる
濃縮され
爆発した時間のあと
灼熱の憎悪だけが
ばくばくと拡がって
空間に堆積する
無韻の沈黙
峠 三吉「炎」(抜粋)
-がれきと燃えさしの広島-
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-満員電車の乗客のほとんどは黒こげに-
-なぜこんな目にあわねばならぬのか-
げんしばくだん
三年 坂本はつみ
(広島市比治山小学校)
げんしばくだんがおちると
ひるがよるになって
人はおばけになる
「原子雲の下より」
-校庭が火葬場になった-
無題
しんるいの
長崎から
ぼくと
おかあちゃんと
ヒロシマに
かえろうと思って
汽車に
のると
ピカリとげんしばくだんが
ひかった
となりのおばあさんが
なむみょうほうれんげきょと
いった
ヒロシマにつくと
駅のところに
死んだ人が
つんでおいてあった
ひろしまの
五年 岡野希臣(広島市南観音小学校)
家につくと
屋根のかわらは
とんでいた
ぼくかたの
おばあちゃんは
病気一つもしないで
いたのに
ピカドンには
まけてしもた
ぼくかたの
おばあちゃんは
ピカドンで
しんでしもおた
ぼくかたの
しんるいの
長崎の
おじさんも
しんでしもおた
「原子雲の下」より
●更新情報●
11/10 原爆と戦争展のご報告とご来場者の声アンケート掲載
戦争で犠牲となられた方々の御霊に謹んで哀悼の意を捧げます。そして、今もなお被爆による後遺症で苦しんでおられる方々に心からお見舞い申し上げます。
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