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原発再稼働を粉砕する 最前線・上関 2

 

原発再稼働を粉砕する

 

        最前線・上関 2

 

  福島ではパニック対策で当初は意図的に住民を逃げられないようにした。ヨウ素が降り注いでいる最中にSPEEDI情報などいっさい教えなかった。そして事故後は逆に規制ばかりして、今度は戻れないようにした。住めないような状況ではないし、直後から復興に動くべきなのに、核廃棄物の処分施設を建設する目的を実行するために住民を締め出して、復興のメドがなくなった今頃になって、除染はしないし個人に線量計を渡すから帰りたいものは帰れ、というような政策をやっている。インフラなど整備されておらず、帰れないことがわかったうえで、「勝手に帰れ」という。これも残酷だ。東電はろくに住民生活の補償すらしない。原発を推進する国や電力会社というのが、国民の生命とか安全など屁とも思っていない。

 

 再稼働にしても米国の命令で、「原発ゼロ」もすぐ反古にした。米国のいいなりで地震列島に五四基もつくるから、今回このような事故が起きた。そして前代未聞の爆発事故を起こしておきながら、なお米国にいわれて日本列島を輸出拠点にするし、核廃棄物処分場の拠点にしようとしている。

 

D 推進するなら「廃虚になってもいい」とはっきりさせなければならない。その覚悟はあるのかだ。中電は住民を頻繁に視察旅行に連れて行くが、今こそ視察旅行に行かなければならない。地震・津波直後から放置され、荒んだ町に人っ子一人いない状態や、道路縁に横たわった牛や豚の死体、避難民が何万人と難民状態になり、体育館で辛抱しながら段ボール暮らしを強いられていた姿についても、しっかりと目に焼き付けたうえで、「それでもカネが欲しいから上関に原発をつくる」のか問わなければならない。

中電の埋立工事を阻止する祝島の婦人たち
中電の埋立工事を阻止する祝島の婦人たち

反対の顔をした推進派

 

A 祝島では、島民全体を犠牲にして、自分たちだけカネをもらおうとする者の姿も暴露されてきた。反対派のなかに潜んで島の実権を握り、みなを散々銭ボイトといって攻撃した者が今になって裏切り、最大の銭ボイトだったというのだから、島民の怒りは相当なものだ。島内では婦人たちが一生懸命に反対運動を支えてきたが、カネが欲しいという者についても「それはいけないよ」「祝島に住めなくなるでしょ」としっかり話をして改めさせる工作がいる。「出ていけ」というような攻撃は懲り懲りだし、もうしないけれども、みんなと暮らしていけるように改めるべきだと説得に当たる必要がある。豊北原発反対斗争の漁民リーダーは、推進で動いている住民についても絶対に攻撃しなかった。「みんな団結せぇ」と呼びかけていた。みんなが団結しないといけないし、仲間に獲得することが重要だ。

 

B 初期の反対運動では、人の家に押しかけては「銭ボイトー! 銭ボイトー」と叫ぶから逆効果で、やられた側を推進派に追いやっていく効果しかなかった。仲間を増やして原発とたたかおうと考えている者がする行為ではない。島民の一割が推進派というなら取り込めばよいだけで、それをさせなかったのはなぜか? だ。上関の反対運動に潜り込んだ中電の手先が、運動を意図的にねじ曲げた結果、残酷な住民分断攻撃がやられた。

 

A 上関の反対派の中に巣くっていた「反対の顔をした推進派」について問題にしないわけにいかない。一見すると反対派なのだが、欺瞞的だからわかりにくい。妖怪変化のお化けみたいな特徴をもっている。上関原発計画が浮上した当初は加納新が町長をしていた。ここまできて、加納が代表している戦後の共産党崩れの裏切り者町政が作り出した廃町政治を問題にしないわけにはいかない。原発誘致にあたっては前段で特に漁協をズタズタに破壊した。それで廃村だと騒いで原発を引っ張ってきたのが加納だった。そしてやったことは、反対派のなかに加納派を配置して反対運動を潰していった。反対派の主要部分を抑え、それが祝島でも最後的に売り飛ばしの勝負をかけてきている。

 

 三〇年たってみて、大概、「反対派」を標榜していた者がひっくり返っている。標榜していたのが正体をあらわしている。国や電力会社からすると、反対派を崩す者が一番の功労者になるわけだ。豊北で敗北して上関に転じていく時の国および電力会社の最大の手口は、反対派の指導部に推進派を配置して、反対運動を崩していくことだった。しかし、こうした構造に対する頑強な斗いを三〇年やってきた。そして反対派に潜んだインチキ勢力を暴いてひっくり返すところまできた。

 

 一方で尖閣問題など大騒ぎして、武力によってしか解決しない方向に向かっている。それでどうして原発なのかだ。五四基もあるうえに国土は廃虚になる。米国の指図だからといって許されるものではない。第二次大戦であれだけ撃ち殺して原爆を投げつけて日本を占領し、属国にした者が、原発の墓場にする政治を強いている。その尻馬に乗っているのが安倍晋三であるし、山本繁太郎だ。

 

 漁業権さえ売り飛ばさなければ、推進勢力は手も足も出ない。祝島や上関の斗争は全国を励ます位置にある。何が再稼働かだ。今の安倍再稼働路線、原発輸出路線、新規立地もやるのだという流れを粉砕する最前線に上関は位置している。現地を基盤にしてひっくり返す。その典型をやりうるのが上関だ。

 

 

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期間:2024年8月20日~28日

ところ:山口県岩国市中央図書館 展示室

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